みなさんご存じのWillow Pattern Plateですが、こちらはちょっと面白いもの。
Schweppes Bitter Lemonの文字入り、そして定番のブルーではなく、ブルーグリーンといった色合いのものです。
ここでWillow Patternのお話しを、
昔の中国の偉い役人の一人娘とその秘書の男性の悲しい恋の物語
身分違いの恋を偉い役人である父親に反対され、一人娘は家に幽閉、挙句、柳の花が落ち、桃の花が満開になる頃に軍人と結婚をさせられることを知った男性は、その結婚式当日に屋敷に忍び込み、花嫁である一人娘と駆け落ちをします。それが見つかり父親に追いかけられ、小舟に揺られ、小島に辿り着きそこで暮らし始めます。しかし追ってに見つかり、男性は殺害され、それを悲しんで娘も自ら命を絶ってしまいます。それを見た神様が哀れに思い、二人を鳥の姿に変え、いつまでも仲良く暮らした、という物語です。
このWillow Patternの中にこの物語が納められており、娘が幽閉された屋敷の部屋（中央の柳の木の下の小さな離れ）や、橋を逃げる駆け落ちの場面（純潔を表す糸巻を持った娘、宝箱を持った青年、追いかける鞭を持った父）、小舟や辿り着いた小島などが描かれています。上部には鳥の姿になった二人も。
一枚の皿の中にこれだけのセンセーショナルな恋物語の場面を要約しているのは、ロボットやAIが活躍し始めた現代人が見ても面白いと思いますし、それが昔の人々であったらと想像すると、大流行するのも頷けます。
そしてもっと面白いのはこのプレートが、炭酸水のSchweppes 社がBitter Lemonの発売のノベルティーとしてGienが制作し、さらに伝統的なWillow Patternが反転して制作されたことです。通常は橋の上の三人や離れ小島は左にあり、屋敷は右にあります。制作時にGienが間違えたのか、わざとSchweppesが反転でオーダーしたのか、謎は謎のままに。いろいろな意味で面白い、そして惹かれるプレートです。
プレート自体は深みがあり、釣銭などを置くバーソーサーの用途で作られたものと思われます。
（当店が入手したこちらのプレートにはGienのマークはありません。）
・France 1900年後期
・サイズ：直径12cm×高さ2.5cm
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