1935年にロンドンで創業された出版社ペンギンブックス。オレンジのペンギンのマークでもおなじみかと思います。現在でも英語書籍の5大出版社(big five)として健在です。
最初のキングペンギンシリーズ「K1」は1939年に出版され、シリーズは76巻が生産された後、1959年にわずか20年という短い期間で終了しました。
キングペンギンブックスシリーズは、ドイツの出版社インゼルブックスにインスピレーションを得て作られているため、インゼルと同じく、英国の軍服の歴史や、菌類、彫刻などと専門的な内容であり、決して民衆受けをする幅広い題材を用いていません。小さいサイズながら美しい装飾的なカバーや挿絵を特長としています。
今回はそのシリーズの中から2冊をご紹介します。
■A BOOK OF TOYS
紀元前3000年から20世紀にかけての世界中の子供のおもちゃを、年代順にイラストを交えて紹介しています。
ペンギンブックスの創設者であるアレンレーンは、おもちゃは”風変りな小さなお菓子”と称していて、この本は単に子供にだけではなく、大人にも目を向けて作られた本だと言われています。おもちゃを紹介するイラストも素朴で魅力的な絵となっています。説明分も単におもちゃの様相を説明するのではなく、詩的な物語を読んでいるような文章になっています。
13世紀の馬に跨った騎士のおもちゃでは、
「おぉ、私はとても強いです。そして飛び跳ねます。Hoppity Hoppity Hop! 私の車輪は丸くない、地面に触れるとCloppity Cloppity Clop !」
と書いてあります。
ひとつのおもちゃを紹介する文章がなんて楽しいのでしょうか!
著書のグウェンホワイトは、子供向けの本などを描いたりした画家であったようです。
・シリーズ番号:K26
・著:グウェンホワイト
・1946年度初版本 ENGLAND
・18.5×12.5×厚さ7cm 全64ページ
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■POPULAR ENGLISH ART
英国の商業美術を紹介するイギリスでも人気の名作本として知られています。
ノエルキャリントンとクラークハットンにより英国の商業アートやその背景を美しく繊細なイラストで紹介しています。
レースのカットワークを美しく描いたバレンタインのカードや、色鮮やかな装飾の見本市会場の馬、船のボトルアートや装飾の馬車など、こちらはイラストが現代には見られない色使いでとても魅力的です。
・シリーズ:K21
・著書:ノエルキャリントン/イラスト:クラークハットン
・1945年度初版本
・18.5×12.5×厚さ7cm 全64ページ:32ページ(文章のみ)・32ページ(カラーと白黒のイラスト)