エナメル装飾を施したガラス = verre émaillé  手描きのエナメル画のグラスです。

発色材(コバルト・アンチモンなど)にガラス溶剤を混合したものを絵筆などで手書きし、その後低温で焼成して作られます。

エナメルガラスの起源は6世紀とも8世紀ともいわれています。15世紀にビザンチンよりベネチアに伝わり、その後ヨーロッパに広く伝わっていきました。19世紀後半のアールヌーボー時代にエミール・ガレが作品に多く取り入れたことでも有名です。これがフランスの富裕層に受け入れられました。

1900年に入るとパリ郊外にあったガラス工房を中心に、型吹き成型による大衆向けのエナメル装飾ガラスが量産されます。当時の作品にはメーカー名、ブランド名、サイン等はほとんどありませんでした。

本品は、ひとつは『聖体拝領』の絵、もう一つはアルファベットの『B』をアラベスクデザインで描いたものです。

カトリックの聖体拝領(holy communion)は、教会のミサでキリストの血と肉であるワインとパンを身体の中に受け入れる儀式のこと。生まれた時に洗礼を受けた子供たちが初聖体を受けることによって、初めて聖体を拝領しカトリック教徒となる大事な儀式なんだそうです。宗教色は低いですが日本の七五三に近いかもしれませんね。

女の子は白いドレス、男の子は黒いスーツなどに正装し、シエルジュ(cierge)と呼ばれる長いろうそくを持つのが決まりだそうです。小さな子供の結婚式のようで日本人からするととても微笑ましいです。

もうひとつのグラスはアルファベットの『B』と言いましたが、大文字筆記体の『L』とも読めるかも?エナメルで橙色の文字と細かな金彩が施されています。縁にはゴールドの帯があります。どちらのガラスにも小さな気泡や手作りらしいガラス表面の揺らぎが見られます。

・France 年代不詳(1900’s前期)

・エナメル画のグラス 聖体拝領:口径6.9cmx高さ12cm

・エナメル画のグラス アルファベットB:口径7cmx高さ10.2cm

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