
フランスの古いティースプーンとアイスクリームスプーンのご紹介です。ティースプーンは12cm弱の程よい長さ、デザート用にも使えそうです。アイスクリーム用は少し大きめの方ですくう部分が平たいのが特徴です。
SFAM社(ソシエテ・フランセーズ・ダロイ・デ・メタル )のティースプーン
こちらは1900年代前期のフレンチアンティークのカトラリー。1892年設立パリのSFAM(Société Française d’Alliage de Métaux)社製のティースプーンです。華やかなフローラルロココ調のアカンサスリーフ装飾で、当時はこのような曲線を活かした繊細で女性らしいデザインが好まれました。
SFAM(Société Française d’Alliage de Métaux)社は1894年、パリの北西にあるエプテ川沿いのセリフォンティーヌで真鍮、銅鋳造工場として創業。フランス各地の工場を買収しながら、1900年代には世界の銅総生産量の10%を担う程になりました。その後亜鉛、ニッケル、クロムの製造販売よりシルバープレートの技術開発に注力、銀器の製造販売を行うようになりました。
本体の表平面に “12G” と “METAL ALLIAGES BLANC”、持ち手の裏部分に “SFAM” の刻印があります 。
“METAL ALLIAGES BLANC” は洋銀、白銀、ニッケルシルバーとも呼ばれ、30%の銀を含んだ合金であり、 “12G” は12本のフォークをプレートする際に使用される銀含有量が12グラムであることを示します。これは表面のシルバープレートの品質を示す大切な刻印です。
・France 1900年代前期
・サイズ:L=11.8cm
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もう一点は、
Christofle Modele Marot のアイスクリームスプーン
こちらは以前に一度ご紹介させて頂いたクリストフルのモデル。
Modèle Marot は、17世紀から18世紀に活躍したフランス人芸術家のダニエル・マロ(Daniel Marot 1661-1752年)をモチーフにしたモデル。彼はフランス生まれの建築家、家具デザイナー、彫刻家で、後期バロック様式のルイ14世の時代に活躍したフランスの芸術家でした。
当時のマロは Manufacture des Goblins のジャン・ベラン(ベラン様式)に師事するようになります。Modèle Marot には小さめのシェルの形が表と裏にデザインされています。このモチーフが採用されたはそのためではないかと思われます。クリストフルディーラーの中では、このモデルは “Modèle Marot Bérain” と呼ばれています。これはマロ&ベラン様式のことを表しているのではないか思います。
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《Christofle Silver plate》
CHRISTOFLE は1830年創業のフランスの銀製品の老舗メーカー。創業以来、最高品質を保つためにその技術と伝統を忠実に守り続けるシルバーウェアの代名詞的ブランドです。
19世紀より以前のヨーロッパでは、一般家庭で使われるカトラリーは木製かピューターが主流でした。銀のカトラリーを使えるのは王侯貴族などの特別階級のひとたちだけでした。そんな時代にシャルル・クリストフル(1805-1863)は表面にシルバーコーティングを施す技術を発見し、その技術をカトラリーに応用することに成功させました。これによりこれまで高価な純銀のみだった銀製品を安価に製造することが出来るようになりました。その後一般の家庭にも徐々にシルバープレートのカトラリーが流通するようになりました。クリストフルは当時のナポレオン3世にも愛用されていました。
クリストフルの製品には「CHRISTOFLE」の刻印、またマスターホールマークと呼ばれるフランス政府の製品保証マーク、「チェスのナイト+ OC」 、ベースメタルを示す「ALFÉNIDE」の刻印も記されるようになります。
・France 1935年-1983年
・サイズ:L=13cm
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