プレート裏面に刻印された、MOSELLE(モゼル)は、フランス北東部、グラン・テスト地域圏の県の名前で、ドイツとルクセンブルク大公国の国境に隣接する町です。パリの東、ロレーヌ・アルザス地方の町になります。
普仏戦争に敗北したフランスは、1871年フランクフルト講和条約によって、アルザスとロレーヌ地方はドイツに編入され、1つにまとめられました。1919年の第1次世界大戦終戦後、ヴェルサイユ条約によって、アルザスとロレーヌ地方はフランスに返還されました。
本品の窯元、ロンウィーの町はそんなモゼル県のすぐ北に位置します。
ロンウィー(Longwy)はベルギーとルクセングルク国境に隣接するフランスの東端、ロレーヌ地方の北にあるモゼル県のコミューン。1880年創業のロンウィ製鉄会社は、ロレーヌ盆地にできたフランス有数の企業でした。1980年代までロンウィはフランスの重要な製鉄の街でもありました。
18世紀のロレーヌ地方は、ニデルヴィレール、リュネヴィル、サン・クレマン、サルグミンヌ、ティオンヴィル、イスレット、オーダン・ル・ティッシュを経由して、ファイアンス工場の波が押し寄せていました。ロンウィー陶器の歴史も同じ頃、1798年にチャールズ・レニエによって、ムルト・エ・モーゼル地方のカルメル会修道院に工場を設立したのが始まりです。
1925年にはパリ万博にも出展し、ロンウィーファイアンスは最盛期を迎えます。しかし直後の1929年アメリカの株大暴落(ブラックマンデー)の煽りを受け、工場の経営は大きく傾き始めます。陶器工場はその後1976年に破産申請、200年続いた歴史に幕を下ろしました。
アイボリー地の軽めの軽快な陶器に、リズミカルなグリーンのガーランドと黄色の花が月桂冠が描かれ、透明な釉薬で仕上がっています。状態も良好です。一般のラヴィエより少し深めに作られていますので、多機能に使える前菜皿です。
・France 1920-30’s
・サイズ:縦15cmx横17.4cmx高さ3.2cm
0