オランダマーストリヒトの古窯SOCIÉTÉ CÉRAMIQUE Maastrichtの小さなボウルです。

19世紀後期のオランダの古い小さなカフェオレボウルです。Laitièreという名が付けられています。Laitière はフランス語で「乳搾り女」という意味。「乳搾り女」とはその当時のヨーロッパで乳牛から乳を搾るために雇われていた女性のことで、家事使用人のことでもありました。彼女たちは牛乳を搾る仕事だけではなく、牛乳を使ってクリームやバター、チーズなどといった乳製品をつくる技術を持ち合わせた多職工でもありました。

カフェオレボウルの装飾としてはとても不思議なモチーフですが、乳搾り女と乳牛、仔牛、子供、農家など古いオランダの牧歌的風景が美しく描かれています。

本品は白地に水色で転写技法(Transfer)により作られています。転写は銅板に絵柄を描き、それをシートにプリントし、カップなどに貼り絵柄を写し取るという技法です。銅板に絵を描くので手描きよりも細かな描写ができ、量産ができるということで19世紀前半より盛んに用いられた技法です。絵柄を描く職人さんの他にプリントシートを巻き付ける職人がおり、この職人さんの腕次第でうまく絵柄が合うか合わないかが決まるところがあると思います。時々絵柄がずれていたり、斜めになっていたり。そんな絵柄を見ていると、このカップの職人さんは新人だったのではないだろうか、いやお腹が空いていてつい雑になってしまったのではないだろうか、などと19世紀に思いを馳せたり。

とても古いものですので染みや貫入などがございますが良い味を出していると思います。欠けやクラックは見当たりません。

日本でいう緑茶を飲むときの小さなサイズ感のボウルですが、このくらいの大きさが飲み物が冷めないうちに飲めて私は好きです。

・Holland 1880-1895年

・サイズ:直径10.8cmx高さ6.4cm

SOCIÉTÉ CÉRAMIQUE Maastricht

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