Parlez-moi d’amour Lucienne Boyer

久しぶりにここ最近のお気に入りのBGMのご紹介です。いまだ買付に行けない怨念を込めて、1930年当時のパリに思いを馳せながらこの曲をご紹介します。当時の映像と共にお楽しみください。シャンソンと云ってもそれらしくなく、優しく語り掛けてくるバラードのような曲です。

1930年にフランスの音楽家、ジャン・ルノワール(1891-1976)によって書かれたシャンソン。歌ったのはフランスの歌手、リュシエンヌ・ボワイエ(1901-1983)です。彼女が29歳の時の作品です。

彼女はフランスのパリ6区、モンパルナス地区界隈の生まれ。第一次世界大戦で父親を失い、家族を支えるため軍事工場で働き16歳頃からキャバレーや小劇場の舞台にあがり歌手としての一歩を踏み出します。本当は女優志望だったそうです。

その後、26歳の時アメリカ人プロデューサー、リー・シューバートに認められ歌手デビュー、2年後再びパリに戻り、そこで1930年、ジャン・ルノワール 作詞・作曲によるこの Parlez-moi d’amour をリリース。第1回フランスディスク大賞を受賞しました。発表から今日にいたるまで様々な歌手やアーティストにカバーされ続けています。

日本でもシャンソンの代表的な曲として、「聞かせてよ愛の言葉を」というタイトルで多くのシャンソン歌手や宝塚などでも歌われています。

こちらの絵は、黒いドレスに身を包んだ女性が、カフェの店内で頬杖をつきながら物思いに耽っている姿が描かれています。この絵は藤田嗣治が1949年に、リュシエンヌ・ボワイエをモデルに描かれたものと云われています。

彼女の手元には裏向きに置かれた便箋と封筒、ペンとインクボトル、インクを吸い取るための紙。彼女はここでワインを飲みながら誰に手紙をしたためていたのでしょう。

窓の外には、モンパルナスにあるカフェ「ラ・プティ・マドレーヌ (LA PETITE MADELEINE)」が見えます。

                                        
こちらは1930年当時のサンジェルマンのCafé de Flore