ペクソンヌ陶器工場の始まりは1720年ごろと言われています。ロレーヌ地方の古窯としては最も古いものの1つと考えられています。
1836年、ニコラス・フェナル Nicolas Fenal(1851-1905)が工場の所有者となり、1857年に彼が亡くなった後は彼の息子たちが会社を引き継ぎました。 ペクソンヌの工場は、1870年の普仏戦争後、プロイセン(現ドイツ)に併合されたサルグミーヌから逃れた陶工たちの移住により、大きな発展を遂げました。
彼らの協力により最新の窯(オーブン)を導入し、白磁と透明な釉薬によってより洗練された高品質な製品へと変遷していきました。1897年、ニコラスの叔父と甥は “FENAL Frères” の商標を登録し、20世紀初頭には工場は400人ほどの労働者をかかえ黄金時代を迎えます。
その後も工場は高品質の陶磁器を幅広く生産し続けましたが、1914年に勃発する戦争、1939年に再び始まる第二次世界大戦により工場は閉鎖され、終戦後の1945年に工場の生産を再開しました。しかし、戦争の惨禍は致命的な痕跡を残し、工場に動力を供給していた発電機は1953年についに停止しました。
それにもかかわらず、ペクソンヌの陶器工場は、ロレーヌとフランスの産業史に非常に価値のある文化的および芸術的遺産の重要な証言であり続けています。