Manufacture de Sèvres

セーヴル焼 Porcelaines des Sèvres は、イル・ド・フランスのセーヴルで生産される磁器のことです。

ヨーロッパで初めて磁器を作ったのはあの有名なドイツのマイセンと云われています。1709年にザクセン王国(現ドイツ)の首都ドレスデンのマイセンが始まりとされています。

一方フランスでは、 デュポア兄弟ロベールとジル(Robert et Gilles Dubois)が、1738年、パリ東部のヴァンセンヌ城内に窯を構えたのが始まりと云われています。その後、ルイ15世とポンパドール夫人の出資を受けた、 陶工のフランソワ・グラヴァンがパリとヴェルサイユの中間に位置するセーヴルの町に窯を移したのが始まりとされています。

セーヴルでは精巧な軟質磁器が作られましたが、元々マイセンのような硬質磁器を目指していたグラヴァンは、18世紀半ばにリモージュ近郊でカオリン鉱床が発見されたのを機に、1796年に真正の硬質磁器が作らるようになりました。1824年には国立の陶磁器製作所となります。

元々セーヴル焼は豊かな彩色を駆使した、王族が好むロココ様式の装飾が最大の特徴で、値段も大変高く一般庶民が手にするようなものではありませんでした。ここセーヴルでフランスの磁器生産の技術が発達し、後には南のリモージュへ技術が伝わり、リモージュ焼きは量産磁器として一般にも普及していきました。

一方、装飾豊かなものとはかけ離れたグリサイユのプレートなども一般的作陶されています。19世紀特有の陶器の色や滑らかな釉薬の肌触りなど何とも云えない柔らかさを感じます。背面には “Sèvres” の刻印が刻まれています。