1821年、Faïencerie de Gien はフランスの中心部にあるブルゴーニュ地方、北にオルレアン南にリヨンに挟まれた、ロワール渓谷の街、ジアン市に設立されました。
創業者のイギリス人実業家トマス・エドム・フルム(Thomas Edme Hulm)は、18世紀より家族が経営していたモントローの工場と、古い修道院の土地と建物を購入して新しい工場を建設します。 ここは原材料となる上質な粘土、砂、ロワールからの珪質小石の産地であり、またオルレアンの森で豊富に採れる木材はロワール川を下り、ジアン工場の重要なオーブン窯の種となりました。
創業当初は主に一般庶民が日常生活で使う食器を中心に製造していました。その後中世ヨーロッパの装飾品の模倣をデザインに取り入れたり、才能ある装飾画家や彫刻家などを招き入れ、新しい装飾と前世紀のものに触発された装飾様式を確立していきます。
1800年代中期頃には高級ディナーサービスの生産も始まり、この期間の作品は最も豊かで独創的です。新しく招待された芸術家によって創作された様々な作品に加えて、コレクションの豊かさと技術的および芸術的な観点からも高い評価を受けるようになります。19世紀後半には多くの博覧会に出展、何度も金賞を受賞する栄誉に輝きました。このころからジアンは黄金時代を迎えます。
世界中の王侯貴族などにも注目されるようになり、貴族の家紋を刻印したオーダーメイドのテーブルウェアなど、多くの人々に愛用されるようになりました。さらにジアンでは原材料、塗料、型や絵柄などの開発を続け、今日に至るまで様々なコレクションを生み出してきました。
20世紀に入り、度重なる戦争や経済不安などにより苦難の時期もありましたが、Faïencerie de Gien はその地を守り抜き現在に至っております。